シャープクックパッド
左:6753シャープ、右:2193クックパッド

2016年2月5日土曜日テレビ朝日でシャープの社長が辞任の意向を示したとの報道がありました。

報道元記事:テレ朝ニュース

リンク元の記事が削除されているため誤報だったかもしれませんが、

もしシャープの社長交代が事実としたら株価がどうなるのかを考えてみます。

 

  • 事例

ここ最近で自分が印象に残っている例としては

社長の交代ではありませんが、それに準ずるものとして取締役の交代劇があります。

その銘柄は

2193:クックパッド

です。

こちらは最終的には取締役の交代には至りませんでしたが、交代する可能性が高かったです。

 

社長の交代でもないのにクックパッドを取り上げた理由は、

創業者兼筆頭株主(43.581%)の佐野氏が株主提案権を行使して行ったためです。

もし2月5日に取締役の選任に関して合意の発表がなく、

そのまま株主総会が開かれていたら最終的には社長交代もあり得たと考えております。※

 

クックパッドが株主提案権を受け入れた時からの株価を見ますと

発表翌日は窓を開けてからの大陰線となっております。

さらに翌日も窓を開けて陰線となりました。

これは推測ですが機関投資家や長期投資家などが、経営方針をめぐっての争いが起きたため

今後の企業業績にマイナスの影響があると考え株式を手放したと考えられます。

 
  • 今後のシャープの株価

ここから本題のシャープの今後の株価を考えてみます。

社長の交代により今後は経営方針が変更されることが予想されます。

そのため単純に考えるとクックパッドの場合と同じように窓を開けてからの大陰線になるという

結論に達しますがそのようなことはないと思います。

というのもクックパッドは現在の社長のもと好業績を続けてからの役員変更というサプライズニュースの発生でしたが

(株主提案権の内容である「みんなのウェディング」買収に関しても黒字案件だったことも重要だと思います)、

シャープの場合は赤字を出し続けたうえでの辞任となっているため、

むしろいいニュースとして考えられて陽線が出てくるのではないかと思います。

また、もともと鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入るとのニュースによりすでに織り込まれているのではないかと思います。

 

これらのことから鴻海(ホンハイ)精密工業の買収取りやめなどの悪影響を及ぼす出来事がない限り

シャープの株価は上昇する可能性が高いと思います。

 
  • 社長の交代による株価の影響

社長の交代が株価に与える影響を調べるにはいくつか分け方があるので挙げていきます。

Ⅰ ①創業者からの社長の交代    ②それ以外の社長の交代

Ⅱ ①赤字会社においての社長の交代 ②黒字会社においての社長の交代

Ⅲ ①企業内部の人間が社長になる  ②外部から新しく社長を連れてくる

Ⅳ ①任期が短い中での交代     ②任期が長い中での交代

Ⅴ ①交代した社長が若い方     ②交代した社長がお年を召された方

ぐらいでしょうか?

それぞれ一つづつ考えていきます。

まずⅠの交代する社長が創業者か否かに関してですが、

これは創業者であったからこそ信頼して長期で株を持っていた人にとっては売り材料となるため

短期では株価が下がるのではないかと推測されます。

特にカリスマを持っているといわれるような創業者であればなおさらです。

対して創業者でなければよくある社長交代と考えられるため株価に対して

あまり影響がないのではないかと考えられます

(もっとも創業者でなくても中興の祖と呼ばれるような社長であれば話は別ですが)。

次にⅡの会社が赤字か黒字かということに関してですが、

これは赤字会社の場合は社長交代により黒字転換するのではないかとの期待があるので

短期的に株価は上がるのではないかと推測されます。

逆に黒字の場合は社長の交代により会社経営に一時的な不安が出てくることにより

短期的に株価下がるかもしれません。

Ⅲの次期社長が社内の人間か否かに関してですが、

社内の人間であればいままでの会社経営と大きく変わることがないと考えられるため

株価に影響はない推測されます。

逆に外部から社長を招いたときは会社の経営方針が大きく変わる可能性があるため

期待から株価が上がるかもしくは不安から株価が下がるといった感じでボラティリティが出てくると推測されます。

Ⅳの社長の任期に関してですが、

短い期間に何度も社長が交代するようでは経営が安定しないため

株価が下がりやすいと推測されます。

最後にⅤの次期社長の年齢についてですが

あまりに高齢な方が社長に就任した場合、病気などにより突然辞任するリスクがあるため

株価が下がりやすいのではないかと推測されます。

このようにトレードのシナリオをいくつか描いてみましたが、

実際に株価がどう動くかは検証してみないとわかりません。

そのため時間が取れるようになったら会社四季報をもとに検証してみたいと思います。

 
  • 補足

※社長をはじめとした取締役の交代のためには株主総会の特則普通決議が必要となります(会社法341条)。

これは議決権の過半数を有した株主が出席しかつ株主総会に出席した株主の過半数が必要になる株主総会決議となっております。

佐野氏が出席して議決権の過半数に達するためには残り約6.4%(100%-43.581%)の支持が必要となりますが、

実際には出席しない株主が多いと考えられるため株主総会が開かれた場合可決したと思われます

【仮に佐野氏単独で可決させようとした場合約4.6%以上の議決権を持つ株主が出席しかつ約12.3%(100%-43.581%×2(過半数を取るために2倍しています)】の株主が出席しないだけで過半数を取ることになります)。

 
  • 追記
シャープに関しましては、結局報道の誤りだったようですね。

とはいえ鴻海(ホンハイ)が買収の決定もしくは取りやめを発表するまでは株価は上昇しそうですが。